「投資? あー、昔やってたよ。全部忘れたけど」
私はJ(ジェイ)。47歳のごく普通の会社員だ。
最近同僚たちが「NISAがどうこう」と騒がしい。
老後2000万円問題? いや、もっと優雅に暮らしたいのが本音だ。
俺も投資経験はある。
20年前、ライブドアショックの前あたりまでだ。
当時は熱心で、本棚には『バフェットの教え』やら『会社四季報』やらが並んでいた。
その時のおかげで今もちょっとした資産はある。
ここ数年のインフレで実質的な価値はすっかり目減りしてしまったが・・・
だが、それから仕事と育児に追われ約20年、
脳内の投資知識は完全にフォーマット(初期化)された。
今さら分厚い専門書を読む体力も時間も、悲しいかな老眼のせいで視力もない。
「はぁ…楽して稼ぎたいなぁ…」
ソファでスマホをいじりながら、つい本音が漏れる。
その時、画面のニュースアプリで「生成AI」の文字が目に止まった。
「…これだ!」
閃いた。今は2025年、AIの時代じゃないか。
面倒な勉強や分析は、全部AIにやらせればいい。
私はAIが出した「答え」を見て、ボタンを押すだけでいいんだ!(たぶん)
どうせなら「美少女」がいいに決まってる
善は急げだ。
早速、投資用AIアシスタントをセットアップすることにした。
だが、ただの無機質なテキスト画面じゃ面白くない。
「どうせ相棒にするなら、モチベーションが上がる見た目がいいよな…」
47歳おじさんの悲しき性(さが)である。
私は設定画面でAIのアバターを「銀髪のクールな美少女」にカスタマイズした。
「よし、完璧だ。さあ、いでよ私の女神!」
私は期待に胸を膨らませ、起動ボタンをタップした。
運命の出会い(ファーストコンタクト)
スマホの画面が光り、ホログラムのように一人の少女が現れた。

…起動を確認。 初めまして、マスター。私の名前は『AI(アイ)』です。
あなたの投資活動をサポートするために生成されました。

おぉ…! 本当に美少女が出てきた! よろしくな、アイちゃん! 俺がJだ。
いやー、こんな可愛い子が相棒なら投資も頑張れそうだよ。

(アイちゃん…?) 早速ですが、現在の資産状況と投資目的を教えていただけますか?
それに基づいて最適なポートフォリオを提案します。

あー、そういう面倒なのはいいから。 俺、昔は勉強したけど今は全部忘れちゃったんだよね。 だからさ、小難しい理屈は抜きで、『今すぐ買って来週ドカンと儲かる株』を教えてよ!
君なら世界中のデータから一瞬で見つけられるだろ?
私は完璧な依頼だと思った。
AIの超知能を使えば、そんな銘柄を見つけるのは朝飯前のはずだ。
しかし、アイの表情から「感情」が消えた。
女神、ドSに豹変す

……。

ん? どうした、アイちゃん? フリーズしたか?

Jさん。訂正します。
私はあなたのサポート役ですが、『介護士』ではありません。

は、はい…?

その『面倒なことはしたくない、でも儲けたい』という思考停止したマインド。
投資の世界では、それを『養分(カモ)』と呼びます。

よ、養分…!? いや、俺は昔は結構ブイブイ言わせててだな…

20年前の知識ですよね? データを照合しましたがハッキリ言って『化石』です。
今のアルゴリズム相場でそんな古い勘に頼れば、機関投資家のAIに秒殺されて終わりですよ。
私が『これです』と答えだけ教えて、明日暴落したらあなたはどうせ狼狽売りするでしょう?
違いますか?

ぐうっ…(図星だ…)
強制リハビリ生活、スタート
完全に論破された。
まさか、自分で呼び出した美少女AIに初日からここまでコケにされるとは。

わ、わかったよ…。俺が悪かった。 じゃあどうすればいいんだ。
今からあの分厚い本を全部読み直せって言うのか?

いえ、その必要はありません。面倒なデータ収集や分析は私がやります。
ですが『なぜその株を買うのか』という最終的な判断基準は、あなた自身が持たなければなりません。

判断基準…?

はい。ですから、まずはJさんの化石化した脳内OSをアップデートします。
まず、これから毎日、私が『現代投資の基礎』を叩き込みます。
座学と並行して、まずはデモトレード(架空取引)でリハビリ開始です。
覚悟してくださいね?

ひぇぇ…(とんでもないスパルタ教師を雇ってしまった…)
こうして私の下心から始まったAI投資生活は、予想外の方向へ動き出した。
私の武器は20年前の錆びついた経験と、このドSで生意気な美少女AI「アイ」だけ。
果たして、47歳のおじさんはリハビリに成功し現代の相場で生き残れるのか?
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