昔の知識でドヤ顔したら、秒で論破された
「銘柄選び? ああ、任せとけって。昔取った杵柄(きねづか)だよ」
口座開設を終えた私は、AI(アイ)の前で久しぶりに先輩風を吹かした。20年前、私は確かに「会社四季報」を読んでいたのだ。

いいかアイちゃん、株ってのはな、
『PER』が低くて『PBR』が1倍を切ってるやつを買えばいいんだよ。
それが『割安』ってことさ!

……Jさん。

ん? なんだい、AIくん。

その『PER』と『PBR』、計算式を今すぐ空で言えますか?

えっ…。け、計算式?
いや、アプリ見れば数字が書いてあるし…

(はぁ…) 意味もわからず数字だけ見て『低い方がいい』と覚えている。
典型的な『雰囲気投資家』ですね。 座ってください。基礎から叩き直します。
私は大人しくパイプ椅子に座らされた。AIによるスパルタ補習の始まりである。
1限目:PER(株価収益率)=「元を取るのに何年かかる?」
アイは空中にホワイトボードのホログラムを投影した。

まずPERです。計算式はこれ。
『株価 ÷ 1株あたりの純利益(EPS)』

うっ…割り算…(頭が痛い)。

難しく考えないでください。この図を見て。


例えば、あなたが1500万円(株価)で毎年100万円の利益(純利益)を出すコンビニを買収したとします。 投資した1500万円を回収するのに何年かかりますか?

えっと、1500 ÷ 100 だから…15年?

正解。それが『PER 15倍』の意味です。
つまりPERとは『今の利益水準が続いた場合、投資額を何年で回収できるか』という
期待値の年数なんです。

なるほど! 年数だと思えば分かりやすいな。
じゃあPER 5倍の会社は『5年で元が取れる』ってことか。
めちゃくちゃお買い得じゃないか!

…と、安易に飛びつくのが素人です。
『あと5年でこの会社は潰れるかもしれない』と市場が思っているから、
そんなに安いのかもしれませんよ?
数字の裏にある『理由』を考えなければカモにされます。
2限目:PBR(株価純資産倍率)=「解散したらいくら戻る?」

次はPBRです。
計算式は『株価 ÷ 1株あたりの純資産(BPS)

純資産ってのは会社の貯金とか土地とかのことだよな?

そうです。会社が持っている財産から借金を引いた『正味の財産』です。
この図を見てください。


PBRは会社の『中身の価値(純資産)』と『値札(株価)』を天秤にかけたものです。

図の左側みたいに中身(純資産)の方が重いのが『PBR 1倍割れ』ってことか。
会社が持ってる現金より株価の方が安い…。
これ、会社を解散させて財産を山分けした方が儲かるんじゃないか?

理論上はそうです。だから『解散価値』とも呼ばれます。
Jさんが言う『お買い得』とはこの状態のことですね。

だろ!? やっぱり俺の目は間違ってなかった!

ですが、なぜそんなに安く放置されているんでしょう?
それは経営者がその財産を有効活用できておらず
『将来性がない』と市場に見放されているからかもしれません。
これを『バリュートラップ(割安の罠)』と呼びます。
今日のまとめ:数字を鵜呑みにするな

うぐぐ…。安いから良いってわけじゃないのか…。
じゃあ、何を見ればいいんだよ!

現代の投資で最も重要視されるのは『ROE(稼ぐ効率)』です。
安いだけの『落ち葉』を拾うのではなく、
これから成長する『金の卵』を見つけるための指標です。
私の古い知識はAIの論理の前では無力だった。
だが、図で見せられたおかげで初めて「PER」と「PBR」の意味が腹落ちした気がする。
次回、AIが最強の指標と呼ぶ「ROE」について再びスパルタ講義が始まる。
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